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3話 水着越しに伝わる熱と、抑えきれない衝動

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-09-01 16:21:59

♢水辺のハプニングと募る想い

 夏の強い日差しが照りつけるプールサイド。容赦なく降り注ぐ陽光が水面に反射し、目を細めるほどのまぶしさが広がっていた。コンクリートの照り返しが、足の裏から全身にじりじりと熱を伝える。塩素のツンとした匂いが、熱気とともに鼻腔を刺激した。水泳の授業中、悠真は青い水面を泳ぐクラスメイトたちの中で、ひときわ目を引く水着姿のひよりに無意識に視線を奪われていた。身体に吸い付く紺色の水着が、彼女の華奢な輪郭を際立たせる。青い水面に反射する光が、彼女の白い肌を眩しく照らし、その白さは、まるで真珠のように輝いて見えた。栗色の髪から滴り落ちる水滴が、首筋を滑り落ちていく様子が、彼の視線に焼き付いた。透き通るような白さと、水滴が弾けるたびにきらめく微細な輝きに、悠真の喉がごくりと鳴った。額には、早くも汗がにじみ始めていた。

 次の瞬間、濡れたタイルで足を滑らせたひよりが、「きゃっ」と短く悲鳴を漏らし、バランスを崩してよろめいた。その悲鳴は、周囲の生徒たちのざわめきにかき消されそうになる。

「ひより!」

 咄嗟に悠真の声が飛び出し、彼自身も驚くほどだった。伸ばされた彼の腕が、ひよりの細い身体をしっかりと受け止める。ひよりの体が彼にぶつかる衝撃は、予想よりも柔らかく、そして温かいものだった。胸がぶつかり合ったその刹那、悠真の腕の中に、ひよりのやわらかな胸の感触がダイレクトに伝わった。濡れた水着の薄い生地越しに、弾力のある温かさが手のひらに吸い付くような、抗いようのない感触。まるで、吸い寄せられるかのように、彼の掌がひよりの胸の膨らみを包み込む。指先から伝わる、熱を帯びた肌の柔らかな質感が、彼の理性を揺さぶった。思わず全身にゾクゾクと電流が走り、奥底から熱いものがこみ上げる。彼の喉が、ゴクリと音を立てた。耳の奥で、自分の心臓が早鐘のように鳴り響き、全身の血が下腹部に集中するような、強い衝動に駆られた。その場所が、わずかに硬質化していくのがわかる。

「あーらら、ひよりちゃんったら、ドジっ子なんだから〜」

 間延びした声が、近くから聞こえた。花城まどかが、笑いを堪えきれないといった様子で、腕を組みながら悠真とひよりを交互に見ている。明るいオレンジの瞳は、まるで獲物を見つけたかのように輝いている。

「ねえ、凛音ちゃん、千代ちゃん!なんかいいもの見ちゃったかも〜?」

 まどかの隣では、結城凛音が腕を組み、シャープなグレーの瞳で冷静に二人の様子を観察していた。一瞬、悠真の焦燥を読み取ったかのように、彼女の口元が微かに引き締まる。白鷺千代は、柔らかな銀髪を揺らしながら、心配そうにひよりを見つめている。その薄いグリーンの瞳には、ひよりを案じる優しい光が宿っていた。

「きゃっ……ご、ごめんなさい、風間くん!」

 ひよりは顔を真っ赤にして、慌てて悠真の腕の中から身を離した。その声は、恥ずかしさで上ずり、微かに震えている。淡いピンク色の瞳が、困惑と羞恥で潤み、視線を泳がせていた。その瞳が、悠真の涼しげな瞳と一瞬だけ交錯し、すぐに逸らされた。悠真もまた、顔が熱くなるのを感じながら、動揺を隠すように曖昧に頷くことしかできなかった。心臓は依然として激しく脈打ち、熱を帯びた身体からは、プールの消毒液と、ひより自身の甘い石鹸の香りが混じり合い、彼の鼻腔をくすぐり続けた。その香りが、彼の火照った肌にさらに火を注ぐようだった。

「もー、ひよりってば、悠真に抱きついちゃってさ〜。アツアツだねぇ?」

 まどかのからかうような声に、ひよりの顔はさらに赤みを増した。熱気に加え、羞恥で茹だるような体温が、彼女の肌をさらに紅潮させる。

「ま、まどかちゃん!違うのっ!ただ、足を滑らせて……!」

 ひよりが必死に弁解するが、まどかは聞く耳を持たない。彼女の言葉は、まるで火に油を注ぐようだった。

「はいはい、いつものやつね。まどか、からかいすぎ。ひよりが困ってる」

 凛音が涼やかな声でそう言うと、まどかの表情が少しだけ不満げに歪んだ。しかし、凛音の鋭い視線に、まどかもそれ以上は何も言えなくなる。凛音の瞳は、悠真のわずかな表情の変化も見逃さなかった。彼女は、悠真の視線がひよりの胸元へ一瞬向いたことを、確かに捉えていた。

「この子たちといると、毎日が物語みたいで楽しい…♪」

 千代がそっとひよりの腕に触れた。その言葉は、場の空気を和ませる。千代の優しい声に、ひよりは安心したように頷く。悠真は、そんな彼女たちの一連のやり取りを、ただ黙って見つめていた。彼の胸の内では、ひよりの柔らかさが残る掌が、じんじんと熱を発している。

 その夜、自室のベッドに横たわった悠真は、昼間の出来事を鮮明に思い出していた。カーテンの隙間から差し込む月の光が、部屋の隅をぼんやりと照らす。静まり返った部屋の中で、ひよりのやわらかな胸の感触が、まだ手のひらに残っているかのような錯覚に陥る。あの時、彼の腕の中で揺れた彼女の身体の曲線、微かに開いたままの薄い唇、潤んだ瞳と、真っ赤に染まった頬、そして焦るように震えていた身体。それらの残像が、悠真の理性を揺さぶり、寝返りを打つたびに熱が全身を駆け巡った。

 ひよりの白い肌、そしてあの時感じた胸の柔らかさ。それらを思い出すたび、体の内側から熱がじわじわと湧き上がってくる。その熱は、彼の身体を少しずつ蝕むように広がり、布団の中で身動きが取れないほどだった。夏の夜の湿った空気が、彼の熱くなった肌にまとわりつく。悠真は、その熱をどうすることもできず、ひよりを想いながら、一人静かに息を潜めた。

 まぶたを閉じれば、ひよりの笑顔と、あの時の柔らかい感触、そして甘い石鹸の香りが、脳裏に鮮やかに蘇るのだった。彼の指先が、無意識に掌を擦り合わせた。まだそこに、あの感触が残っているような気がして。彼の視線は、熱を帯びて盛り上がった自身の股間へと向けられる。高鳴る鼓動が、全身を駆け巡る血液の音と混じり合い、彼の耳の奥で激しく響いていた。

 ——もう、抑えきれない。脳裏には、プールサイドで見たひよりの、濡れた体操服の薄い生地越しに透けて見えた、淡いピンク色の乳輪と、小さく尖った乳首の色が鮮やかに蘇る。指先で感じた胸の柔らかな弾力、吸い付くような肌の感触が、まざまざと蘇る。彼は想像の中で、ひよりの白い太ももが、微かに開く様子を思い描いた。その間から、露を宿したかのように濡れて光るその場所が、彼の視線を吸い寄せた。熱い息が、彼の喉から漏れる。ひよりを想いながら、一人、静かにその衝動を解き放とうとしていた。

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